東光の酒造り

小嶋総本店は全量純米蔵へ。時代を辿り、今原点回帰する意味。

私たち株式会社小嶋総本店は、安土桃山時代に創業した国内で13番目に古い酒蔵です。

昨年、令和2101日出荷分より、醸造アルコールの添加を一切行わない「全量純米造りの酒蔵」となりました。現在、弊社は山形県に52蔵ある日本酒蔵の中で最大の全量純米蔵となります。 

特定名称で聞き馴染みのある「純米」というワード。純米造りによって生まれる味わいの違いとはどんなものなのでしょうか。今回は小嶋総本店が「全量純米化」した意味を酒造りの哲学を通してお伝えします。

國酒、日本酒を名乗るならば、すべて日本のもので造りたい。

10年前、6割が醸造アルコール添加酒(※以下、アル添酒)だった小嶋総本店。アル添酒は香りを逃がさず飲み心地をすっきりとさせくれるものですが、醸造アルコール自体は主に南米や東南アジアのサトウキビを原料としたスピリッツで、その大半が輸入原料でした。

ちょうどその頃、蔵に戻ってきた現・24代目代表の小嶋は「『國酒』や『日本酒』を名乗るからには日本の米だけで酒を造りたい」という強い想いの元、酒造りの改革に取り組みました。 

10年かけて実現した純米蔵への変換と酒質の向上。

醸造アルコールを添加しない造り、すなわち純米造りとは米、麹(こうじ)、水のみで造るということ。すべての造りでそれを実現することは想像以上に難しいことでした。

1つ目の壁は原料コストの増加。アルコールを添加すれば米は溶けやすくなりますが、使用しない場合は米の溶けづらくなります。したがって、同じ利用の酒を造るには総量として米の使用量は増え、1日の出来高も減少してしまいます。同じ出荷数量を維持するためには醸造期間を延ばす必要もありました。 

2つ目の壁は酒質の向上です。日本酒を醸造アルコール無しで造る際に、そのままでは複雑な味わいが目立ちやすい、ゆっくりと米の旨味を引き出しながら、酸とのバランスがとれた飲み飽きしない味わいを目指しました。そのため、回転式自動洗米浸漬装置を導入し、米糠をしっかりと落とすことで純米造りでも「きれい」な酒をつくることにこだわりました。 

県産米を中心に、地元の山形・米沢の風土を思い起こさせる酒を造る。

10年かけて、小嶋総本店で造る酒のすべてを純米造りに転換できたのは、これまで支えていただいた皆様のご支援のおかげと感謝しております。

時代を辿り全量純米造りに回帰した意味は、より地域性、文化性の高い酒造りを目指す中で、山形県産米を中心とした国産米のみで酒造りを行うことにあります。

創業時からの歴史を見つめなおし、今だからこそ造り上げられる味わいがあると信じ原点回帰した酒造りに励みたいと考えております。

そして、現在の取り組み。

昨年の仕込みで、私たちは純米造りに続いて原点回帰を目指した酒造りとして創業当時(400年前)に行っていた「備前甕仕込み」、さらに何百年もの間蔵の酒造りを支えた「木桶仕込み」に取り組みました。

現在使用されているステンレス・ホーロータンクに比べて微生物の管理が難しくなる一面もございますが、甕・木桶にしかだせない味わいがそれぞれにあります。一時的なものではなく、今後小嶋総本店の顔となるようなお酒を造り続けるための最初の一歩としての酒造りです。

備前甕仕込みの酒は今年の末に、木桶仕込みの酒は発売計画中ですが、新オンラインストアリニューアル記念酒として本オンラインストアにて販売いたします。ぜひ、時代見つめなおして生まれた日本酒の味わいをお楽しみください。

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